余事象を使いこなそう!(演習付き)

本記事では,余事象の解説と,余事象の確率を使う練習をしたいと思います.

余事象とは

全事象Uにおける事象Aに関して,「事象Aが起こらない事象」のことをAの余事象といいます.
AAの余事象は互いに背反であり,
(事象Aが起こる確率) + (Aの余事象が起こる確率) = 1となります.
また,式を変形すると,
1 – (Aの余事象が起こる確率) = (事象Aが起こる確率)
となります.

確率の問題の中には,余事象の確率を考える方が楽な問題があります.
以下の演習問題で,余事象を使いこなす練習をしてみましょう.

演習問題

(1)
サイコロを3個ふって,4が少なくとも1つ出る確率を求めよ.

(2)
6個のサイコロをふって,全て異なる数字が出る確率を求めよ.

(3)
3個のサイコロをふって出た目の積が偶数となる確率を求めよ.

(4)
サイコロを2つふって,出た目の和が7となる確率を求めよ.

(5)
100〜999の数から1つを無作為に選び出すときに,選んだ数に1つ以上0が含まれる確率を求めよ.

(6)
あなたが所属している5人のグループがある.このグループの中にあなたと同じ誕生月の人がいる確率を求めよ.ただし,どの月に生まれる確率も\frac{1}{12}とする.

解答例

(1)
4が1つも出ない確率は,
\begin{aligned} \left( \frac{5}{6} \right)^3 = \frac{125}{216} \end{aligned}
「4が少なくとも1つ出る」の余事象は「4が1つも出ない」なので,4が少なくとも1つ出る確率は,
\begin{aligned} 1 - \frac{125}{216} = \frac{91}{216} \end{aligned}

余事象の確率を求めずとも,4が1つだけ出る確率,4が2つ出る確率,4が3つ出る確率を足し合わせることで確率を計算することもできます.しかし,余事象を用いた方が楽でしょう.

(2)
6個のサイコロをふって全て異なる数字が出る確率は,
\begin{aligned} \frac{6}{6} \cdot \frac{5}{6} \cdot \frac{4}{6} \cdot \frac{3}{6} \cdot \frac{2}{6} \cdot \frac{1}{6} = \frac{5}{324} \end{aligned}

余事象の記事の演習問題だからといって,必ずしも余事象を用いるとは限りません.
どのような問題で余事象を有効的に使えるか,判断するところから練習です.

(3)
積が偶数とならないのは(奇数)×(奇数)×(奇数)の場合のみである.よって,求める確率は,
\begin{aligned} 1 - \left( \frac{1}{2} \right)^3 = \frac{7}{8} \end{aligned}

(4)
出た目の和が7となる組み合わせは(1,6)(2,5)(3,4)(4,3)(5,2)(6,1)の6通りなので,
\begin{aligned} \frac{6}{36} = \frac{1}{6} \end{aligned}

余事象を使わない問題その2.

(5)
100〜999の数の個数は
999 - 100 + 1 = 900
「少なくとも1つ0が含まれている」の余事象は「1つも0が含まれていない」なので,求める確率は,
\begin{aligned} 1 - \frac{9^3}{900} &= 1 - \frac{81}{100} \\ &= \frac{19}{100} \end{aligned}

(6)
「同じ誕生月の人がいる」の余事象は,「同じ誕生月の人がいない」であり,また,自分を除いたグループの人数は4人なので,求める確率は,
\begin{aligned} 1 - \left( \frac{11}{12} \right)^4 &= \frac{14641}{20736} \\ &= \frac{6095}{20736} \end{aligned}

終わりに

余事象を使いこなせるようになったでしょうか.
まだ自信がないという方は,手持ちの問題集や参考書で練習してみましょう.

  

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