順列,組合せ,重複組合せ

本記事では,順列,重複順列,組合せ,重複組合せについて基礎的な内容をまとめます.

順列

有限個のものを順序をつけて並べる配列を順列といいます.
例えば,1から9までの数字がそれぞれ書かれた紙から5枚を選び,一列に並べたものなどが順列です.

異なるn個から,異なるr個を選んで並べるとき,その順列の総数を{}_n \mathrm{P}_{r}と表します.{}_n \mathrm{P}_{r}の計算方法は以下の通りです.3通りの書き方をしてみました.

\begin{aligned} {}_n \mathrm{P}_{r} &= n(n-1) \cdots \cdots (n-r+1) \\ &= \prod_{x=n-r+1}^{n} x \\ &= \frac{n!}{(n-r)!} \end{aligned}

総乗の記号\prodについては,以下の記事に解説があります.
高校ではほとんどお目にかかりませんが,知っておくと便利なので気になる人はぜひ読んでみてください.(気にならない人は,上の式の2行目を無視してください)

3行目の記述方法は,後述の「組合せ」で重要になります.

先ほどの例,1から9までの数字がそれぞれ書かれた紙から5枚を選び,一列に並べた順列の総数を求めると,
\begin{aligned} {}_9 \mathrm{P}_{5} &= 9 \cdot 8 \cdot 7 \cdot 6 \cdot 5 \\ &= 15120 \end{aligned}
となり,15120通りあることが分かります.

このような計算式になる理由を,この例を用いて説明します.
まず,一番左に並べる数字は1〜9のどの数字でもよいため9通りあります.その右隣に並べる数字は,最初に並べなかった8種の数字から選ぶので8通り,同様に次は7通りとなっていき,それらを掛け合わせたものが順列の総数となるわけです.

重複順序

異なるn個のものから,r個を選んで並べることを考えます.ただし,同じものを選んでも構いません.このような順列を重複順列といい,重複順列の総数はn^rとなります.

例えば,1から9の数字を3つ並べてできる数字の総数は9^3=729通りです.

組合せ

異なるn個のものから,順序に関係なく,異なるr個を選んで取り出したものを組合せといいます.異なるn個のものから,異なるr個のものを取り出した組合せの総数を{}_n \mathrm{C}_{r}1この記法のCはCombinationの頭文字のCです.と書き2\binom{n}{k}\mathrm{C}(n,k)\mathrm{C}_{k}^{n}\mathrm{C}_{k,n}などの記法もあります.以下のように計算します.

\begin{aligned} {}_n \mathrm{C}_{r} &= \frac{{}_n \mathrm{P}_{r}}{r!} \\ &= \frac{n!}{r!(n-r)!} \end{aligned}

組み合わせの総数は,順序に影響を受けませんから,順列の総数{}_n \mathrm{P}_{r}を,取り出したr個の順列の総数r!で割ったものになります.

また以下の性質を持ちます.

命題.
0 \leqq r \leqq nのとき,
\begin{aligned} {}_n \mathrm{C}_{r} &= {}_n \mathrm{C}_{n-r} \end{aligned}

証明.
\begin{aligned} {}_n \mathrm{C}_{n-r} &= \frac{n!}{(n-r)! \{ n-(n-r)\}! } \\ &= \frac{n!}{(n-r)!r!} \\ &= {}_n \mathrm{C}_{r} \end{aligned}

組合せに関しては,他にも重要な定理が多くありますが,二項定理と合わせて考えると理解しやすいため,別の記事で解説したいと思います.

重複組合せ

異なるn個のものから,重複を許して,r個を選んで取り出したものを重複組合せといいます.重複組合せの総数は{}_n \mathrm{H}_{r}で表され,
\begin{aligned} {}_n \mathrm{H}_{r} &= {}_{n+r-1} \mathrm{C}_{r} \end{aligned}
で計算します.

大学に入ってからも,組合せ数学が必要になったときに計算することがありますので,知っておいて損はないでしょう.

 

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