この記事では,三角形や四角形の面積を求める公式の証明を行います.
証明をしたことがない公式を見つけたら,記事を読み終わった後で良いので,自分で証明してみましょう.
また本記事では,三角形△ABCに関して,∠AをA,∠BをB,∠CをCと記述します.辺については∠Aの対辺をa,∠Bの対辺をb,∠Cの対辺をcと記述とします.
三角形の面積の公式
三角形の面積を求める公式(底辺)×(高さ)÷2を三角比を使って少し変形します.
三角形△ABCの面積Sについて,以下の式が成り立つ.
S=21bcsinA
△ABCの頂点Cから辺ABへの垂線と直線ABとの交点をDとする.CDの長さは,
sinACD=bCDより=bsinA
よって△ABCの面積Sは,
S=21⋅c⋅bsinA=21bcsinA
同様の方法で,
S=21casinB
S=21absinC
を求めることができます.
三角形の面積と外接円の関係
三角形△ABCの面積Sと外接円の半径Rに関して,以下の等式が成り立ちます.
S=4Rabc
三角形△ABCの外接円の半径をRとする.
正弦定理sinAa=2Rより,
sinA=2Ra
△ABCの面積Sは,
S=21bcsinA=4Rabc
三角形の面積と内接円の関係
三角形△ABCの面積Sと内接円の半径rに関して,以下の等式が成り立ちます.
S=21r(a+b+c)
証明.
S=21ar+21br+21cr=21r(a+b+c)
ヘロンの公式
三角形の各辺の長さから,面積を求める公式にヘロンの公式と呼ばれるものがあります.
ヘロンの公式
三角形△ABCの面積S,s=2a+b+cとすると,
S=s(s−a)(s−b)(s−c)
証明.
S=21bcsinA=21bc1−cos2A=21bc(1+cosA)(1−cosA)
ここで余弦定理より,
a22bccosA2bc+2bccosA2bc(1+cosA)1+cosA=b2+c2−2bccosA=b2+c2−a2=2bc+b2+c2−a2=(b+c)2−a2=2bc(b+c+a)(b+c−a)
ここで,s=2a+b+cとおくと,
1+cosA=2bc(b+c+a)(b+c−a)=2bc2s(2s−2a)=2bcs(s−a)
同様に,余弦定理より
a2−2bccosA2bc−2bccosA2bc(1−cosA)1−cosA=b2+c2−2bccosA=a2−b2−c2=2bc+a2−b2−c2=a2−(b−c)2=2bc(a+b−c)(a−b+c)
ここで,s=2a+b+cとおくと,
1−cosA=2bc(a−b+c)(a+b−c)=2bc(2s−2b)(2s−2c)=2bc(s−b)(s−c)
面積の式に戻って,
S=21bc(1+cosA)(1−cosA)=21bc{2bcs(s−a)}{2bc(s−b)(s−c)}=s(s−a)(s−b)(s−c)
平行四辺形の面積の公式
平行四辺形の面積Sは,合同な三角形が2つあると考えて,2辺と間の角から,
S=absinθ
円に内接する四角形の面積(ブラーマグプタの公式)
円に内接する四角形の面積Sを各辺の長さから求める公式があります.
以下に示す公式をブラーマグプタの公式といいます.
ブラーマグプタの公式
円に内接する四角形ABCDの辺ABの長さをa,辺BCの長さをb,辺CDの長さをc,辺DAの長さをd,面積をS,s=2a+b+c+dとすると,
S=(s−a)(s−b)(s−c)(s−d)
証明.
S=(三角形△ABCの面積)+(三角形△ACDの面積)=21absinB+21cdsinD=21absinB+21cdsin(180∘−B)=21absinB+21cdsinB=21(ab+cd)sinB=21(ab+cd)1−cos2B=21(ab+cd)(1+cosB)(1−cosB)
ここで余弦定理より,
AC2=a2+b2−2abcosB
また,
AC2=c2+d2−2cdcosD=c2+d2−2cdcos(180∘−B)=c2+d2+2cdcosB
上の2つの式から,
a2+b2−2abcosB2(ab+cd)cosBcosB=c2+d2+2cdcosB=a2+b2−c2−d2=2(ab+cd)a2+b2−c2−d2
1+cosB=1+2(ab+cd)a2+b2−c2−d2=2(ab+cd)2ab+2cd+a2+b2−c2−d2=2(ab+cd)(a+b)2−(c−d)2=2(ab+cd)(a+b+c−d)(a+b−c+d)
ここで,s=2a+b+c+dとおいて,
1+cosB=2(ab+cd)(a+b+c−d)(a+b−c+d)=2(ab+cd)(2s−2d)(2s−2c)=2ab+cd(s−c)(s−d)
1−cosB=1−2(ab+cd)a2+b2−c2−d2=2(ab+cd)2ab+2cd−a2−b2+c2+d2=2(ab+cd)(c+d)2−(a−b)2=2(ab+cd)(c+d+a−b)(c+d−a+b)
ここで,s=2a+b+c+dとおいて,
1−cosB=2(ab+cd)(c+d+a−b)(c+d−a+b)=2(ab+cd)(2s−2b)(2s−2a)=2ab+cd(s−a)(s−b)
面積の式に戻って,
S=21(ab+cd)(1+cosB)(1−cosB)=21(ab+cd){2ab+cd(s−c)(s−d)⋅2ab+cd(s−a)(s−b)}=(s−a)(s−b)(s−c)(s−d)
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