大学入試共通テスト「情報Ⅰ」サンプル問題の解説(第1問 問3問4)
共通テスト「情報Ⅰ」のサンプル問題の解説をします.サンプル問題はこちら.
この記事は以下の記事の続きです.
注意!
主観的な意見の入った解説となっています!
第1問 問3
画像のデジタル化の問題です.
(2022年4月11日に解説の誤りを訂正)
「画像を等間隔の格子状の区画に分割して(標本化)」「区画の濃淡を一定の規則に従って整数値に置き換えて(量子化)」「整数値を二進法で表現する(符号化)」ことで画像をデジタル化する手法が問題のテーマになっています.
はい,すでに答えを書いてしまいました.
ク
手順2は「区画の濃淡を一定の規則に従って整数値に置き換えて」いるため,0番が正解となります.
画像のデジタル化について知らない人でも,図の変化と他の選択肢を見比べることで正答を選べる問題です.意味を考えながらしっかりと選択肢を読みましょう.
ケ
「区画の濃淡を一定の規則に従って整数値に置き換える」ことを量子化といいます.
知らない言葉だったので,私は消去法で答えました.
コ
この問題には絶対に選んではいけない選択肢が1つあります.
3番の「著作権を気にすることなくコピーして多くの人に配布することができる」は,論外な選択肢です.デジタルでも著作物は著作物です.著作物をコピーして配布すれば普通に犯罪となります.この選択肢を選んだ人は,情報リテラシーが著しく欠落していますので,一度PCやスマホを手放して,最低限のリテラシーを勉強しましょう.
中高生のTwitterやYoutubeチャンネルでよく見かけますが,使用許可のない著作物(アニメの画像やイラストなど)を使用しているものは,著作権侵害,犯罪です.「この画像を使います!」と一方的に言うことは,許可を取ることになりません.基本的に他人の作った画像や音声を許可なく使用してはいけません.
無料で使える音声や画像としてフリー素材がありますが,フリー素材にも利用規約がありますので,しっかりと読みましょう!そしてしっかりと守りましょう!え?利用規約を読むのがメンドークサイ?長くて読めない?この種の文章を読めない人は,他人の著作物を利用した創作活動を諦めましょう!1知的労働も諦めた方がいいかも.
1番の選択肢「ディスプレイ上で拡大してもギザギザが現れない」は,不正解の選択肢のひとつです.点2数学における「点」ではない.で画像を表現するラスタデータ(ビットマップデータ)となっているので,拡大するとギザギザになります.
そして2番の「データを圧縮した際,圧縮方式に関係なく完全に元の画像に戻すことができる」は不正解です.というのも圧縮方式には,圧縮したデータを完全に元に戻せる可逆圧縮と,圧縮の過程でデータを欠落させるため完全に元に戻せない非可逆圧縮(不可逆圧縮)が存在します.非可逆圧縮をされたデータは,いかなるデジタル化を経たデータであっても,完全に元に戻すことはできません.よって,2番の選択肢は不正解となります.
正解の選択肢は0番の「コピーを繰り返したり,伝送したりしても画質が劣化しない」となります.
第1問 問4
問4はネットワークの問題……の皮を被った基数変換の問題です.
IPアドレスの問題に見えますが,ネットワーク部とホスト部の説明は,問題文中でほとんど説明されています.問題文中の「IPv4方式のIPアドレスでは,ネットワーク部によって所属するネットワークを判別することができるんだ」(中略)「ここに書いてあるホスト部ってなんですか?」「このネットワークに接続するコンピュータなどに割り当てる固有の番号のことだよ。」等々,それ以降にもさらに詳しい説明があります.
サ
ホスト部は8ビットなので8が正答です.その後の問題文に,2^8=256個のホスト部のうち,全てが00000000のネットワークアドレスとして使用されること,11111111が管理目的で使われることが説明されています.
シス
答えは16です.ホスト部が8ビット+8ビットの場合の話をしているので,ネットワーク部のビット数は32-16=16となります.
セソ
基数変換の問題です.10進法で書かれた2つのIPアドレスを2進法に変換し,上から何桁一致するかを数えます.2つのIPアドレスは,「172.16.129.1」と「172.16.160.1」ですので,上16ビットは完全に同じであることが分かります.次の8ビットのうち頭の何桁が一致するかを調べるために「129」と「160」を2進数に直しましょう.すると「10000001」と「10100000」なります.この部分で一致しているのは上2桁だけなので,最初の16ビット分と合わせて,16+2=18ビットが完全に一致することが分かります.よって,ネットワーク部の最大ビット数は18ビットとなります.
次回予告
次回は,第3問の解説と,第2問を解説しない理由の記事を書く予定です.