本記事では,数列の総和の公式を証明します.
よく教科書や参考書で見られる証明方法だけでなく,数学的帰納法による証明もしてみました.
∑k=1nk
公式.
k=1∑nk=21n(n+1)
証明.
k=1∑nk=1+2+⋯+n は交差 1 ,初項 1 ,末項 n ,項数 n の等差数列なので,
k=1∑nk=1+2+⋯+n=21n(n+1)
∑k=1nk2
公式.
k=1∑nk2=61n(n+1)(2n+1)
証明1.
(k+1)3(k+1)3−k3=k3+3k2+3k+1=3k2+3k+1
となることから,
k=1∑n{(k+1)3−k3}=k=1∑n(3k2+3k+1)
が成り立つ.
(左辺)=k=1∑n{(k+1)3−k3}=k=1∑n(k+1)3−k=1∑nk3=(n+1)3−13=n3+3n2+3n
(右辺)=k=1∑n(3k2+3k+1)=3k=1∑nk2+3k=1∑nk+k=1∑n1=3k=1∑nk2+3⋅21⋅n⋅(n+1)+n=3k=1∑nk2+23n2+25n
したがって,
k=1∑n{(k+1)3−k3}n3+3n2+3n=k=1∑n(3k2+3k+1)=3k=1∑nk2+23n2+25n
となる.
3k=1∑nk2=n3+3n2+3n−23n2−25n=n3+23n2n2+21n=2n(2n2+3n+1)=2n(n+1)(2n+1)
よって,
k=1∑nk2=61n(n+1)(2n+1)
数学的帰納法を使って証明してみます.
証明2.
n=1 のとき,
(左辺)(右辺)=k=1∑1k2=1=61⋅1⋅(1+1)(2⋅1+1)=61⋅1⋅2⋅3=1
等式は成り立つ.
n=m のときに成り立つと仮定すると,
n=m+1 のとき,
k=1∑m+1k2=(k=1∑mk2)+(m+1)2=61m(m+1)(2m+1)+(m+1)2=61(m+1){m(2m+1)+6(m+1)}=61(m+1)(2m2+7m+6)=61(m+1)(m+2)(2m+3)=61(m+1){(m+1)+1}{2(m+1)+1}
等式は成り立つ.
よって,全ての自然数 n で等式は成り立つ.
∑k=1nk3
公式.
k=1∑nk3={21n(n+1)}2
証明1.
(k+1)4(k+1)4−k4=k4+4k3+6k2+4k+1=4k3+6k2+4k+1
となることから,
k=1∑n{(k+1)4−k4}=k=1∑n(4k3+6k2+4k+1)
が成り立つ.
(左辺)=k=1∑n{(k+1)4−k4}=k=1∑n(k+1)4−k=1∑nk4=(n+1)4−14=n4+4n3+6n2+4n
(右辺)=k=1∑n(4k3+6k2+4k+1)=4k=1∑nk3+6k=1∑nk2+4k=1∑nk+k=1∑n1=4k=1∑nk3+6⋅61n(n+1)(2n+1)+4⋅21n(n+1)+n=4k=1∑nk3+2n3+5n2+4n
したがって,
k=1∑n{(k+1)4−k4}n4+4n3+6n2+4n=k=1∑n(4k3+6k2+4k+1)=4k=1∑nk3+2n3+5n2+4n
となる.
4k=1∑nk3=n4+4n3+6n2+4n−2n3−5n2−4n=n4+2n3+n2=n2(n+1)2={(n(n+1)}2
よって,
k=1∑nk3={21n(n+1)}2
数学的帰納法を使った証明もしておきます.
証明2.
n=1 のとき,
(左辺)(右辺)=k=1∑1k3=1={21⋅1⋅(1+1)}2=12=1
等式は成り立つ.
n=m のときに成り立つと仮定すると,
n=m+1 のとき,
k=1∑m+1k3=(k=1∑mk3)+(m+1)3=(21m2+21m)2+(m+1)3=41m2(m+1)2+(m+1)3=(m+1)2{41m2+(m+1)}=(m+1)2(21m+1)2={(m+1)(21m+1)}2=(21m2+23m+1)2={21(m2+3m+2)}2={21(m+1)(m+2)}2={21(m+1){(m+1)+1}}2
等式は成り立つ.
よって,全ての自然数 n で等式は成り立つ.
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