初めて作曲するカノンを5分で完成させた方法
※この記事はカノン形式,及び,楽典の基礎を知っていることを前提に書いています.
カノン形式について知りたい方は以下のページがオススメです.
https://hkmc.jp/column/composition/canon.html
本記事では,初めて作曲したカノンの,少しずるい作曲方法について解説します.
2作目以降のカノンは楽しみながら書いていますが,1作目のカノンはある目的のために早さ重視で書いています.
ちなみに,MuseScore3で作曲しましたが,初めてMuseScore3を触ってからカノンを完成させるまでにかかった時間はたった5分です.わずか4小節の曲ではありますが,なぜこのような短い時間で,初めて書くカノンを作曲することができたのでしょうか?作曲の裏話を紹介したいと思います.
きっかけ
MusicTransformerという,楽曲の冒頭を入力すると,楽曲の続きを生成するモデルがあります.分かりやすく言いますと,自動作曲システムです.ある日Googleが,MusicTransformerの学習済みモデルをGoogleColaboratoryで公開しました1リンクはこちら.これにより,誰でも気軽にMusicTransformerを触ることができます.
そこでせっかくなので,自作の曲を入力したいと考えました.
また,完結した曲を入力したらどうなるのか試してみたくなりました.
さらに,特定の形式の楽曲を入力するとどうなるかも気になります.
そこで以前から気になっていたカノン形式の楽曲を作曲することにしました.
初めて書いたカノンの紹介
以下の曲が,私が初めて作曲したカノンです.
カノンの種類は平行カノンで,模倣旋律が2拍遅れで始まる8度のカノンです.つまり,先行旋律の2拍あとから,先行旋律を1オクターヴ下げた模倣旋律が演奏されれます.さらに最後の2拍がコーダ(結び)になっており,そこだけ模倣旋律が先行旋律の模倣ではなくなっています.
さて通常のカノンの作曲では,何度も先行旋律と模倣旋律の響きを確認して,納得できなければ戻って書き直すという作業を繰り返します.にもかかわらず,初めて触ったソフトを使って,たった5分で作曲できたのは何故でしょうか?
和音進行を先に決める
当然ですが,まともな作曲方法ではありません.
この曲に関しては,カノン形式の作曲を楽しむことよりも,素早く作曲することを優先しました.
そのため,一番最初に和音進行を決めています.
和音進行は以下の通り,Ⅰ- Ⅳ -Ⅴ_{7} - Ⅰ と決めました.定番の和音進行です.
和音進行を Ⅰ- Ⅳ -Ⅴ_{7} - Ⅰ と決めたので,その和音を構成する音が多くなるように,音を置いていきます.これは本当に作曲なのか?
ここで気を付けることは,模倣旋律が2拍遅れで演奏されることです.
下の図を見てください.赤い丸で囲んだ部分は同じ音が演奏されます.オレンジ色の丸で囲んだ部分も同様です.
赤い丸で囲んだ部分には,Ⅰ の和音の構成音であると同時に, Ⅳ の和音の構成音でもある音を中心に置いていく必要があります. B-Dur(変ロ長調)の場合は,B(シ♭)です.
同様に,オレンジ色の丸で囲んだ部分には, Ⅳ の和音の構成音であり, Ⅴ_{7} の和音の構成音でもある音を中心に,音を置いていく必要があります. B-Dur(変ロ長調)の場合は,Es(ミ♭)です.
今回は手早く作りたいので,赤い丸の中にはB(シ♭),オレンジ色の円の中にはEs(ミ♭)だけを置きます.工夫なんて不要です.
残りの部分にも和音進行に合わせた音を置いていくと,あっという間にできあがり!
それから
MusicTransformerで遊んでいましたが,MIDIファイルを自分のGoogleドライブ上に出力する方法が分かりませんでした.
うーむ,他のディープラーニングのコードだとファイルを出力できるのですが……
パラメータによっては面白い曲が出力されるので,ぜひ聴いていただきたいものです.
MIDI出力を諦め,再生中の画面を録画してYouTubeにアップロードするかもしれません.
気長にお待ちください.
また,これまでに作曲したカノンはYouTubeにアップロードしていますので,ご視聴していただければ幸いです.
YouTubeの再生リスト