剰余定理と因数定理

剰余定理と因数定理は,どちらも1次式による整式の割り算に関する定理です.

どちらも重要な定理なので,しっかりと理解し,使いこなせるようになりましょう.

剰余定理

剰余定理.
整式P(x)を1次式 x - a で割った余りはP(a)である.

証明.
P(x)x - a で割った商をQ,余りをRとすると,
P(x) = (x - a)Q + Rとなる.
ここにx = aを代入すると,
\begin{aligned} P(a) &= (a - a)Q + R \\ &= 0 \cdot Q + R \\ &= R \end{aligned}

  

具体例として,以下の記事で登場した整式の割り算を見てみましょう.

3x^3 -2x + 1x - 2 で割った商は 3x^2 + 6x + 10 ,余りは 21 となりました.

ここでは剰余定理を使って余りを求めてみましょう.

3x^3 -2x + 1x = 2 を代入します.
\begin{aligned} 3x^3 -2x + 1 &= 3 \cdot 2^3 -2 \cdot 2 + 1 \\ &= 24 - 4 + 1 \\ &= 21 \end{aligned}
となり,余りの 21 が求まりました.

剰余定理の演習問題

演習.
整式P(x)x - 1 で割ったときの余りが 2x - 3 で割ったときの余りが 72 のとき, 整式P(x)x^2 -4x + 3 で割ったときの余りを求めよ.

 

解答例.
整式P(x)x^2 -4x + 3 で割った余りの次数は,1次以下になるので,余りを ax + b とおく.
ここで, x^2 -4x + 3 で割った商をQ(x)とおくと,
\begin{aligned} P(x) &= (x^2 -4x + 3)Q(x) + ax + b \\ &= (x - 1)(x - 3)Q(x) + ax + b \end{aligned}
となる.
x = 1 のとき, a + b = 2
x = 3 のとき, 3a + b = 72
これらを連立方程式として解くと,a = 35b = -33となるため,
余りは 35x -33である.

因数定理

因数定理.
1次の式 x - a が整式P(x)の因数である \Leftrightarrow P(a) = 0

証明.
剰余定理より,P(a) = 0になるということは,P(x)x - a で割り切れるということであるため,x - aP(a) = 0の因数である.逆も同様.

高次式の因数分解

演習.
次の式を因数分解せよ.
x^4 - x^3 -19x^2 -11x + 30

 

解答例.
P(x) = x^4 - x^3 -19x^2 -11x + 30 とおく.
x = 1のとき,
\begin{aligned} P(1) &= 1^4 - 1^3 -19 \cdot 1^2 -11 \cdot 1 + 30 \\ &= 1 - 1 - 19 - 11 + 30 \\ &= 0 \end{aligned}
よって,x - 1P(x)の因数である.
割り算をして,P(x) = (x - 1)(x^3 -19x - 30)
同様に,x^3 -19x - 30x = -2 を代入すると,
(-2)^3 - 19 \cdot (-2) - 30 = -8 + 38 -30 = 0
よって,x + 2 も因数である.
\begin{aligned} P(x) &= (x - 1)(x^3 -19x - 30) \\ &= (x - 1)(x + 2)(x^2 -2x - 15) \\ &= (x - 1)(x + 2)(x + 3)(x - 5) \end{aligned}
したがって,
x^4 - x^3 -19x^2 -11x + 30 = (x - 1)(x + 2)(x + 3)(x - 5)

 

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